OTA依存から抜ける自社予約導線のつくり方
「じゃらんと楽天で埋まってはいるんですが、手数料がきつくて」
観光や体験の事業者から、いちばんよく聞く悩みです。私も同じ道を通りました。
予約サイト(OTA)は集客してくれます。でも手数料は10〜20%かかり、しかもお客様が「自分の店の客」にならない。次もOTA経由で来ます。
とはいえ、外せば予約が減ります。だから外せない。この構造から抜けるには、順番があります。
結論:広告を打つ前に、まず「見えていない数字」を直す
いきなり結論を言います。
OTA依存から抜けようとする人の多くが、いちばん最初に広告やSNSに手を出します。これが遠回りです。
先にやるべきは、自社サイトで何が起きているかを、正しく測れる状態にすることです。
私たちは3つのサイトを運営しています。コンセプトを伝えるサイト、ショップ本体のサイト、那覇発の特化ブランドのサイト。合計のセッションは前年比で50〜70%伸びていました。数字だけ見れば順調です。
ところが、分析ツールを詳しく見て気づきました。
LINE予約ボタンのクリックが、まったく計測されていませんでした。
つまり、私たちのサイトはデータ上「人は来ているが、誰も予約しようとしないサイト」に見えていたのです。実際にはLINEから予約は入っていました。測れていなかっただけです。
もしあの状態で「予約が取れないから広告を増やそう」と判断していたら、効いている導線を放置したまま、お金だけ使っていました。
手順①:予約への一歩を、必ず数える
外部の予約ページやLINEへ飛ぶリンクは、多くの場合そのままでは計測されません。「サイトを出ていく」動きだからです。
まずここに計測を仕込みます。どのページから、どのプランのボタンが、何回押されたか。 これが分かると、判断がまったく変わります。
「アクセスはあるのに予約が来ない」のか、「そもそもアクセスが少ない」のか。この2つは打ち手が正反対です。測らずに議論しても答えは出ません。
手順②:着地したページから、予約ページへ橋を架ける
次に分かったことがあります。
お客様はトップページやブログ記事に着地して、プランのページまで届かずに離脱していました。
ブログを一生懸命書いていました。海の様子、その日会えた生き物。読まれてもいました。でも読み終わったあと、行き先がなかったのです。
やったことは単純です。記事の下に、固定のリンクを置きました。
▶ いま見ているこの海を、自分の目で見に行く
これだけです。難しい技術は要りません。書いた記事すべてに、予約への橋を架ける。それだけで、記事は集客装置に変わります。
いま書いているブログの記事末に、予約ページへのリンクはありますか。ない記事が1本でもあれば、そこから直してください。
手順③:値下げではなく、価格を3段階にする
OTAを離れると、価格を自分で決められます。ここで多くの人が「安くして自社を選ばせよう」とします。
やめたほうがいいです。 OTAより安くしたら、OTAとの関係も悪くなりますし、そもそも価格で選ぶお客様は次も価格で移ります。
私たちがやったのは、3段階にすることでした。
| 段階 | 中身 |
|---|---|
| Good | 体験+写真 |
| Better | 内容の保証+短い空撮映像 |
| Best | 貸切+五感の演出台本+編集した記念動画 |
真ん中を選ぶ方が多くなります。結果として平均単価が上がります。値段を下げずに、選択肢を作る。 これが自社サイトの利点です。
ちなみに私たちのメイン商品は、泳げない方や小さなお子様連れ向けです。同業より価格は高めですが、それでも選ばれています。**「安いから」ではなく「ここしか無理だと思っていたことができるから」**という理由で来ていただいているためです。
手順④:閑散期の商品を、先に作っておく
沖縄の観光には、はっきりした波があります。私たちの3サイトでも、ある年は1〜6月が前年比で40〜60%落ち込み、7〜8月に回復しました。
繁忙期は忙しくて改善する時間がなく、閑散期は資金が細って動けない。 この繰り返しが、OTA依存から抜けられない本当の理由だと思っています。
だから閑散期の商品は、繁忙期のうちに作っておく必要があります。地元向け、20〜30代向け、法人・教育向け、サブスク型。夏に汗をかきながら仕込んだものが、冬に効きます。
やってはいけないこと
- OTAをいきなり切る。 自社導線が育つ前に切ると、単純に予約が減ります。並走させて、比率を少しずつ変える
- 測らずに広告を足す。 穴の空いたバケツに水を注ぐのと同じです
- 値下げで対抗する。 一度下げた価格は戻せません
今すぐできる一歩
今日できることを1つだけ挙げます。
自社サイトのブログ記事を3本開いて、記事の最後に予約ページへのリンクがあるか確認してください。
なければ、その3本に足してください。作業は10分です。
その次に、予約ボタンのクリックが計測されているかを確認します。ここが分からなければ、Webの担当者に「外部リンクのクリックがイベント計測されているか」と聞いてください。この一言で伝わります。
広告を考えるのは、この2つが終わってからで十分です。
まとめ
- 広告より先に、予約への一歩を計測できる状態にする
- 記事に着地したお客様に、予約への橋を架ける
- 値下げではなく3段階の価格にして、平均単価を上げる
- 閑散期の商品は、繁忙期のうちに仕込む
最悪を想定し、最善を尽くし、中庸を行く。